元岡に猿現る
平成14年度もとおか
 ニュースベスト10
特別企画 
本音DE座談会
「ふるさと元岡の10年後を熱く語ろう」
〜元岡はどう変わっていくのか。その時、わたしたちは?〜
元岡商工連合会
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もとおか自然ファイル
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くらしの法律相談
 
 
   


<出席者プロフィール>
■笠(りゅう)康雄:商工連合会顧問であり、市議会議員。「大切にしたい!この心、この自然」をスローガンに二期目の当選を目指し、邁進中。

■宮崎征司:元岡商工連合会会長。「商工会のスローガン『祭りもとおか』を念頭に十年後の町を想像したいですね」と語る。

■Aさん:体育振興会会長。泉在住、50代男性。
■Bさん:イチゴ農家代表。元岡在住、50代男性。
■Cさん:子育てママ。元岡在住、30代女性。
■Dさん:不動産関連の会社を経営。横浜在住、40代男性。
■Eさん:今宿在住、40代女性。
■Fさん:元岡に嫁いで25年。元岡在住、40代女性。
■Gさん:アルバイト。桑原在住、20代女性。
■Hさん:フリーライター。元岡在住、20代女性。
■Iさん:造園業。元岡在住、20代男性。
■司会:養鶏所経営。元岡在住、40代男性。

   特別企画 本音DE座談会
 
「ふるさと元岡の10年後を熱く語ろう」
〜元岡はどう変わっていくのか。その時、わたしたちは?〜
九大の新キャンパス建設が着々と進む中、「元岡」につきつけられた課題は多い。自
然が激減することやコミュニティが崩れることなどの不安と、生活が便利になるかも
しれないという期待が複雑に交差する。そこで広報委員の独断と偏見により、未来を
案じる「もとおかもん」の方々にお集まりいただき、元岡の十年後を想像しながら大
いに本音を語りあっていただいた。(文中敬称略)

<九大に期待すること、懸念すること>
■司会:九大が平成十七年には開校します。今の心境は?
■H:自然を壊されるから悲観的な面もあるけれども、逆にチャンスだとも思ってい
ます。今叫ばれているスローフードも農業が中心の元岡に住んでいるからこそ、でき
るのではないかと思います。伝統食を守る、生産者を守る、そして食の教育を合わせ
持っていますので。
■B:まぁ十年後、農家の数は確実に減っとう気がするわけよね。今んところ元岡で
リーダーシップをとるのが農家だけれども十年後はどうかなと。九大が来て農家が減っ
たわ、知らん人がいっぱい増えたわと、不安になる要素が大きくなる気がするね。で
も、スローフードなどで町づくりすれば、生活者にも楽しいことが起こるかもしれんね。
■宮崎:箱崎の九大は百年後を目指して造られたそうやね。箱崎キャンパスの百年前
の古い写真を見よったら、周囲は松林ばっかり。でも今は周囲になんも緑がない。だ
から新キャンパスは、百年後に周囲がどんなにが変わろうと九大の中だけには緑を残
そうとしている。
■笠:僕の目から見ると、九大は言っていることとやっていることが違うように見え
る。移植で「環境を守りますよ」といいながら全体の予算が1/10ぐらいに減っとる
やろ。実際は金は事務官が握っとうけんね。もうひとつ心配しとうのはね、九大は地
域の人々と一体となって町をつくるという意識はほとんどないんじゃないかなと思う。
具体的なアクションがないからね。センターゾーンを設けるから地域と一緒に町づく
りをやりましょうといいながら、開校間近になっても何もプランが出てこんけんね。
いかにそれを利用して町づくりをやろうとか、グリーンツーリズムをしようとか、地
域で智恵を絞っていかな、しょうがなかと思うよね。

■B:有機質なものが元岡のよさやろうもな。そっちの方がかっこいい。ただ、食う
ていけるかが問題たい(笑)。
■F:元岡で収穫したものを使ったブランド品を作ったらどうかしら。例えば「あん
ずの里」は、最初は四、五人の朝市から始まったのが膨らんでいって、今では年商五
億。会社勤めの人も退職して、そこで畑を買って野菜を作って売っているそうです。
サラリーマンをしなくてもそれでやっていけるんだと自信がついたんですね。野菜も
どこかに売りに行こうというのではなく、そこで売る。これを飛躍させると、九大の
学内に元岡の農産物だけを使ったレストランを設けるなども考えられますよね。
■B:地産地消ということやね。
■司会:Cさんは、元岡はこうなってほしくないというのはありますか。
■C:建物ばかりが建って、元岡から「色」がなくなることだけはやめてほしい。変
わるなら大学の学内だけで、周りの緑は残してほしいと思います。でも交通の便は今
よりは便利にしてほしいんですけど(笑)。

<ふるさとを自慢できる「未来」を築きたい>

■笠:この前調べたら、市内の専業農家数はたった四百六十七軒やもんね。
■司会:そのなかの何軒かが元岡にあるけんね。
■B:「あん人ばい、農業しとる人は」って指さされるかもしれん(笑)。
■司会:緑を守るためにはお金を出してもらわんと、農家は農家で収入を得なきゃい
かんですからね。開発で土地を高く売ったり、貸したりした方がいいかもしれんし。
■B:変わるんであれば、自分の住んでいる地を自慢できるように変わりたいよね。
そう考えるとワクワクする。そのワクワクが今は足らないような気がする。
■A:やっぱり道を歩いとっても、十年後ここがどげん変わるやろかって思うとです
よね。私が一番心配しとるのは娯楽施設ができるんじゃなかろうかと。そうすると元
岡の雰囲気がゴロッと変わるかもしれんとよね。
■司会:市は地元の声を吸い上げようだけで、なにも動いていないですけんね。
■笠:今は調整区域だから、アパートを建てようとしても絶対に建たない。だから皆
さんが本当に自然を守ろうとすれば、守れると。一方で元岡町内でも売りに出してい
るところがあるよね。そこにアパートを建てた場合、既存の集落が壊れていくたいね。
特に元岡と桑原は。
■司会:指導はできるけども、最終的には止められんということですね。
■宮崎:行政がチェックすることはできんとですか。
■笠:それはできんよ。高さ制限と平米数ぐらいしか規制をかけられんからね。ただ、
このままほったらかしにしておいたら、経済の論理の中でしか動いていかん。そうす
ると今後、元岡を出ていく人がおるったい。またはその土地にアパートを建てて、自
分は他で住むこともできる。必ず業者が売り込みにくるからね。すると既存のコミュ
ニティが壊れる。そこに住んどう人が対応を考えていかな、うまくいかんやろな。
■司会:不動産関係のDさんのご意見は。
■D:そうですね。実際、地域に学生さんが住むのだろうかとも思うんですね。大学
には近いけども、アルバイト先に近い西新や姪浜に住む人も多いかも。
■司会:この桑原、元岡地区に学生の約二十数パーセント住むっていう調査結果がで
とうけんね。
<人とのコミュニティを考えた「土壌」作りを>  
■E:実は前原の実家の土地が公共の道路にひっかかったんです。で、現金が入ると
思ったら、祖父や父は「その分、土地で戻してくれ」という。でも私たちは土地を貰っ
てもどうしようもない。渡す人もいないし。
■司会:確かにね。
■E:それと、新しい人も溶け込める土壌を作ってほしい。新しい人との関わりをど
うやって残していくか。せっかくこうして人情味の深い人々がいるのであれば、新入
りさんたちを巻き込んだ何らかの仕掛けをしていく必要があるのでは。
■司会:地元が大学に入り込むことはできんでしょうか。
:教育の場のなかで今の学生が地元の人と接触を持とうとするのは難しいだろう
ね。しかも今まで学生寮は学外だったけど、今度は学内に設けられるもんね。こちら
から何かやろうとしてもなかなかし辛いかも。せめて留学生センターを学外に出して
くれっていいよると。留学生との交流をしようよって。里親制度でも作ってね。
■B:なるほど。
■笠:正月には雑煮をご馳走したり。日本の文化も教えてやられるし。
■E:以前、ユニバーシアードの時にボランティアで国際交流のイベントを企画した
ことがあるんです。そこで留学生たちのいる寮に飛び込みでチラシを持ってアピール
したら、ちゃんと来てくれました。後でも交流が続きますし。
■I:ただ、元岡はそういう土壌があるのか疑問ですね。そこで育っとう自分ですら
元岡は閉鎖的に見えるから、そこから溶かしていかんと。例えば西南大学の学生は西
新を愛していますからね。自分を含め、学生がお世話になった店が西新にはあるし。
新しい部分と古い部分があるんですね。ただ元岡の場合、古いところばかりを残して
いるような気もします。だからいろんなものが入ってくるのはいい機会だと思う。渾
沌としてくるかもしれんけど。
■司会:学生向けの食堂とか、銭湯とかのニーズはあるやろうけど、それらの店は地
元の人たちよりも他から来た人がしそうな気がしますね。
■笠:そっちの方が強いよね。
■B:どっかでコミュニケーションの場を作らんと。教授や先生を各五人ずつ元岡に
住まわせて、町内会長してもろうて(笑)。そうしたら真剣に考えてくれるよ。
■H:大学の教養課程のなかに「地元学」を作って、地元の農家とタイアップしてみ
るとか。
■笠:九大が「開かれた大学」といっているのであれば、地域交流をひとつの課目で
取り上げることも考えてもらわんとね。少なくとも学生は四年間確実に元岡で生活す
るったい。社会人になったりしたら、必ず育った所は思い出すとやけんね。
■B:だって頭なよかっちゃけんね。逆に使われるっちゃなかろうか(笑)
■司会:学生をアルバイトに使ってくれる農家がでてくればね。
■H:国から補助が出て、農家でバイトする学生には半分国が持って、半分農家が持
つような制度があればいいですね。
■笠:農家の支援制度は作りようとよ。
■D:ベンチャー企業を支援しているように、農業も協同で企業を起こしていくよう
なことも考えられますよね。
■B:後継者がなくても参画者があればいいってことやけど、どっちにしろ再生産さ
れればこそ農地なわけで。その人たちがおらんようになったら再生産されんやったら
いかんもんね。



 
農業から攻めていく町づくりから始めたい  
■笠:一万六千人の学生、教職員や出入り業者を含めると二万人を越す人がくるとや
けん。元岡の人口は八千人ぐらいでしょ。心配なのは元岡が農業でいつまでいけるかっ
てこと。残してほしいとよ、私は。
■B:例えば朝市から始めて、活性化に繋げていくようなことは考えられんやろうか。
農業倉庫でもいいと思う。また農業倉庫から道の駅みたいな、ね。
■笠:ひとつの施設の許可をとっていくことが難しいけんね。
■I:ハード面が決まっているんであれば、あれやこれやいってもしょうがない。し
かも大学生は基本的に押しつけられるのは嫌いですからね。九大には農学部もあるん
やけん、農地を学生に貸して「あんたやったら、これどうするとね? どれだけ儲け
きるね?」って預けてみるとか。
■C:九大が来ると大人の人口は増えますよね。でも、子どもは増えないような気が
するんですよ。今の十、二十年後は私たちが元気だから元岡でやっていけるけど、自
分の子どもや孫は元岡に何もなければ出て行ってしまう。子どもも増やさないといけ
ないと思う。今でも元岡地区には少ないですから。
■笠:(深く頷く)。調整区域である北崎は自然が多くてよかとばってんが、どんど
ん人口が減りよるけんね。しかも若者は消防団もせないかん、PTAもせないかん、町
内会もせないかん。ここにおったらなんもかもせないかんって、結局出て行く。つま
り未来を担う人たちが一番困ってきよるたいね。やけん、何も開発せんより、多少は
していかんと。逆に農家に後継者がいて、続けていけるようであれば何も心配せんで
いいとよ。
■I:若者は農業自体は嫌いじゃないんですよ、絶対。好きな人はおるはずなんです。
ただ、しがらみが嫌なんです。僕も親父とよく喧嘩しますけどね、
■宮崎:元岡が好きで移り住んでいる人もおるとやけんね。
■笠:若い人達にどう働きかけをするかたいね。一刀両断に「そげなことじゃいかん」
と言っても、逃げていくだけ。現代人の考え方もふまえながら考えんとね。今は、お
酒をつぎに回るのは上司やもんね(笑)。
■B:スナックいったっちゃさ、こっちからお姉ちゃんに面白い話せないかんもんね
(笑)。地域の中でも若者に歩みよっていかないかん。
■笠:農地を試される場所を一部つくっとっちゃいいと思う。九大の学生に「アパー
トの一階を貸すけん、なんかせんかい」って。環境に負荷がかからんぐらいにね。
■B:九大がきても何も変わらんというと、ちょっと淋しいもんがあるね。
■笠:地域の人が農地を維持しようとしても、よその人がもっとったらどげんもでき
んけんね。
■司会:最近は農地を資産運用として欲しがらんようになったもんね。
■B:この環境を盛り上げるのは、農業だけじゃないっていう気がしますね。そこら
辺が町づくりとリンクできればね。
■司会:時間が来ました。この座談会が、元岡の未来について真剣に考えるきっかけ
になれば幸いです。ありがとうございました。
(おわり)